ハムスターはペットにしたいランキングでも上位にくる人気な動物です1)。
今回は水素吸入がハムスターの健康に効果があるのかについて、科学的根拠をベースに考察していきます。

ハムスターはペットにしたいランキングでも上位にくる人気な動物です1)。
今回は水素吸入がハムスターの健康に効果があるのかについて、科学的根拠をベースに考察していきます。
ハムスターの健康を守るには、適度な運動と体のお手入れが大切です。平均寿命は2〜3年と短い動物ですが、快適な生活環境を整えたり、丁寧にお手入れしたりすることで、ハムスターにとって有意義な一生を送ってもらえるでしょう。
小さな体のハムスターですが、他の動物と同様に、さまざまな疾患にかかります。目・口・耳・皮膚など視覚的に分かりやすい疾患から、消化器・泌尿器・呼吸器など視覚的に分からない疾患まで、多くの症例が報告されています。
ハムスターを飼う際に、特に注意したいのは以下の疾患です。
| 疾患名 | 原因 | 症状 |
| 結膜炎 | 細菌感染やほこり、不適切な床材によるアレルギー反応が原因。 | 目のまわりが赤くなり、目やに、涙がたくさん出る。 |
| 外耳炎・内耳炎 | 耳垢に細菌が繁殖し、炎症を起こす。耳の奥まで炎症が広がると内耳炎になる。 | 耳に強いかゆみが生じる。排膿・悪臭が出ることもある。 |
| ウェットテイル | 細菌感染や寄生虫、ストレスなど原因はさまざま。食べ物が原因で発症することもある。 | 激しい下痢が特徴。お尻から尻尾にかけて、水で濡れたようになる。 |
| アレルギー性皮膚炎 | 床材や食べものが原因となり、アレルギー反応を起こす。 | 主な症状は発疹、かゆみ、脱毛など。症状が重度になると食欲不振に陥ることもある。 |
| 腎不全 | 脱水・細菌感染が原因で起こる急性腎不全、腎臓の機能衰退で起こる慢性腎不全がある。 | 主な症状は食欲不振、元気消沈など。被毛が荒れることもある。 |
発症原因はさまざまですが、不適切な飼育環境やストレスが原因で発症する疾患がほとんどです。ストレスを受けたハムスターの体内では、過剰な活性酸素が産生され、これが正常な細胞を傷つけることで発症するケースも少なくありません。
ハムスターの健康を維持するためには、活性酸素について理解することも大切です。
活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になったものです。通常の酸素より反応性が高い(酸化力が強い)性質を持ち、体内の代謝過程においてさまざまな物質と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらします。
活性酸素が増える原因としては、紫外線や放射線、大気汚染、薬剤の摂取、過度な運動や強いストレスなどがあげられます。活性酸素による被害を防ぐには、抗酸化物質を摂取したり、ストレス対策をしたりすることが重要です。
水素吸入療法は、主に人の医療現場で知られている治療法です。還元作用がある水素ガスを吸入することで、体内に蓄積したヒドロキシラジカル(活性酸素の一種で悪玉活性酸素とも呼ばれる)を消去して、酸化ストレスを軽減する効果があると言われています。
動物医療の現場でも、水素吸入療法を導入しようという動きがあり、犬や猫を対象とした臨床研究も行われています。犬や猫を対象にした研究では、水素吸入が酸化ストレス軽減に効果的との報告も少なくありません。
一方、ハムスターを対象にした水素吸入の研究は、ほとんど行われていないのが現状です。そのため、ここからは、ハムスターと同じく齧歯類に属する動物を対象にした研究も含め、水素吸入がもたらす健康効果の可能性について解説します。
大阪市立大学の研究によると、水素吸入によりハムスターの心機能を保護できる可能性が示唆されています2)。本研究では、心筋症ハムスターにおいて心機能障害が起こる過程と、水素ガスがこれらの障害に対してどのような効果をもたらすのかを調査しました。
研究対象の心筋症ハムスターでは、間欠的低酸素状態による左室リモデリングが生じ、心筋細胞断裂・酸化ストレス増加・心筋線維化が観察されました。一方、水素ガス吸入群では、心筋細胞の過酸化と線維化が有意に減少し、心機能障害の抑制効果が得られました。
本研究結果から、水素吸入はハムスターの心機能障害の治療・予防に効果があると考えられます。
慶應義塾大学医学部救急医学教室の多村知剛助教の研究グループは、高血圧モデルラットに水素吸入させることで、血圧を下げる効果があると報告しました3)。本研究は、2020年11月に英国ネイチャー出版グループの『Scientific Reports』電子版に掲載され、水素吸入の臨床活用を後押ししています。
本研究では、水素吸入により高血圧モデルラットの血圧低下が確認されました。本研究グループによると、交感神経の過度な活性化を抑えるという機序に基づくものと考えられています。
水素吸入と自律神経の関係性は、まだ不明な点も多いものの、日常生活における定期的な水素吸入が、交感神経活性の亢進を抑えて血圧を安定化させる効果はあるようです。今後、さらなる研究を重ねることで、脳卒中や循環器疾患の予防法・治療法となる可能性が期待できるでしょう。
水素吸入は、人の医療現場で知られている治療法ですが、動物医療の現場では、まだまだ浸透していないのが現状です。過剰な活性酸素による酸化ストレスを軽減することで、さまざまな効果が期待されているものの、有意な研究結果が得られたとの報告はそれほど多くありません。
実際の研究報告を見てみると、自律神経の安定化、呼吸器・循環器・消化器系疾患の治療、癌の進行抑制など、さまざまな効果が報告されています。ハムスターをはじめとした小動物での臨床応用を進めるためにも、さらなる研究に期待したいところです。
動物医療の現場での水素吸入が普及すると、不治の病と言われていた疾患も、治る、あるいは進行を遅らせることができるかもしれません。ハムスターを含めた動物医療の現場での水素吸入が普及するように、今後の研究に期待したいものです。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
運営元についてこちらの記事は参考になりましたか?
こちらの記事は参考になりましたか?