日本人男性のがん死亡数の部位別で見ると、肺がんは1位となっています。日本人女性では大腸がんに次ぐ2位となっています。1)
そんな日本人のがんによる死亡の上位を占めている肺がんに対して、水素吸入療法が効果的な可能性があるとして近年注目されています。
本記事では、肺がんの基礎知識から、水素吸入と肺がんの関係について、先行研究をもとに解説していきます。
なお、肺がん以外のがん種との関係については、『水素吸入と「がん治療」の最前線まとめ』をご覧ください。

日本人男性のがん死亡数の部位別で見ると、肺がんは1位となっています。日本人女性では大腸がんに次ぐ2位となっています。1)
そんな日本人のがんによる死亡の上位を占めている肺がんに対して、水素吸入療法が効果的な可能性があるとして近年注目されています。
本記事では、肺がんの基礎知識から、水素吸入と肺がんの関係について、先行研究をもとに解説していきます。
なお、肺がん以外のがん種との関係については、『水素吸入と「がん治療」の最前線まとめ』をご覧ください。
肺がんは肺組織(気管支や肺胞など)内でがん細胞が増殖することによって生じる悪性腫瘍です。
喫煙は肺がんの最も大きな原因の1つです。他にも、放射線や化学物質の曝露、遺伝的要因が関係する場合があります。肺がんは、早期には症状が見られないことが多く、進行して初めて症状が現れることもあります。
主な症状として、咳、痰、血痰(痰に血が混じる)、胸の痛み、発熱、体重減少などです。診断には、画像検査(X線、CTスキャンなど)、生検(患部組織の一部を針やメスなどで採取して顕微鏡で拡大してがんの有無を調べる検査)などが行われます。
肺がんは4つの組織型があります。腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんです。
治療法は、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法などがありますが、小細胞がんとそれ以外のがんで大きく異なります。このため、小細胞がん、非小細胞がんに大きく分けて治療を行うことが一般的です。
現時点では、水素吸入と肺がんの予防を直接的に調べた研究がないため、水素吸入が肺がんの予防に有効であるかは不明であるといえます。したがって、水素吸入が肺がんの予防に役立つかどうかについてはさらなる研究が必要です。
しかし、体内の過剰な活性酸素による酸化ストレスと発がんとの関係が報告2)されており、水素が抗酸化作用を持つことを考えると、論理的には予防に関してポジティブな影響がある可能性は想像に難しくありません。ただし、繰り返しになりますが水素吸入が肺がんの予防に効果的かどうかの研究結果はまだ報告されていないため、あくまで推測の域は出ません。
現時点での肺がんの予防には以下が重要です。
がんに対するサポート療法としての水素吸入については様々な報告があります。つまり、従来の治療と組み合わせ、2つの治療戦略を組み合わせることで治療効果の向上と治療法の長期的なコントロールを実現することが期待されています。
肺がんを例にすると、従来の治療(化学療法、標的療法、免疫療法)に水素吸入を加えることにより、肺がんの進行を遅らせるとする研究が報告されました3)。具体的には、非小細胞がん患者58名(水素吸入療法単独10名、従来の治療に水素吸入療法追加38名、無治療10名)を対象として比較検討を行いました。
結果、水素-酸素混合の気体を毎日4~5時間吸入した患者の無増悪生存期間(治療中にがんが進行せず安定した状態である期間)が、無治療群4.4±1.2ケ月に対して、水素吸入群は最長で10.1±2.6ケ月と有意に延長し、良好な結果を得たと報告しています。つまり、肺がんの進行が抑制されていた期間が平均で倍以上になっていたことが示されました。
水素吸入は従来のがん治療のサポート的治療として研究されています。いくつかの研究は、水素吸入が肺がん患者の生活の質の向上、がんの進行抑制、がんの重量減少などをもたらすと報告しています。4) しかしながら、水素吸入の潜在的な利益を完全に証明するまでには至っておりません。したがって、がんの予防およびサポート治療に対して水素吸入が効果的とすることは時期早々と考えます。
紹介した研究では、肺がんのサポート治療として水素吸入を行った結果、無増悪生存期間が最長で約7ケ月延長しており、がんの成長を抑えることができる可能性が示唆されました。しかしながら、がんは個別の患者により進行度、転移の有無などが異なり多様性があるのが特徴で、研究の対象者は58名とサンプル数が比較的少なめです。従って、これを一般化して解釈し、水素吸入が肺がんの進行を必ず抑制すると考えるのは飛躍のしすぎだと考えられます。
とはいえ、水素吸入による抗がん剤治療の副作用軽減なども報告されており4)、肺がんに対するサポート治療として今後確立される期待は膨らみます。肺がんと診断された際はまずは標準治療を行い、期待された効果が認められない場合は医師とよく相談しながら、水素吸入による改善効果を期待しても良いかもしれません。今後さらに肺がんに対する有効性のエビデンスが確立されることを期待しています。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
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