抗がん剤治療による肝機能障害は、比較的高頻度で発生する副作用の一つです。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど自覚症状が出にくいため、気づかないうちに機能が低下し、治療の中断を余儀なくされるケースもあります。
現在、この障害に対する特効薬は存在しませんが、水素吸入が予防や改善に役立つ可能性が示唆されています。
本記事では、抗がん剤による肝機能障害のメカニズムと水素吸入療法に関する最新の研究動向を解説します。

抗がん剤治療による肝機能障害は、比較的高頻度で発生する副作用の一つです。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど自覚症状が出にくいため、気づかないうちに機能が低下し、治療の中断を余儀なくされるケースもあります。
現在、この障害に対する特効薬は存在しませんが、水素吸入が予防や改善に役立つ可能性が示唆されています。
本記事では、抗がん剤による肝機能障害のメカニズムと水素吸入療法に関する最新の研究動向を解説します。

肝臓とは、栄養素の貯蔵、有害物質の解毒、あるいは消化吸収を助ける胆汁の分泌など様々な働きを持っている臓器です。
その肝臓の働きが何らかの原因で障害されている状態を、肝機能障害と言います。
肝機能障害が抗がん剤の副作用としても発生するということが知られています。
抗がん剤による肝機能障害の発生頻度は抗がん剤の種類にもよりますが、だいたい1.79%-38%程度と報告されています1)。
ここでは抗がん剤による肝機能障害の基本情報について解説させて頂きたいと思います。
抗がん剤によって肝障害が引き起こされるのは、肝臓の処理能力以上の負担がかかることで細胞死を起こし、機能しなくなるためです。
多くの抗がん剤は肝臓で代謝されますが、肝臓の代謝能力を超える薬剤が投与された場合は、肝機能障害を発症する可能性があります。
ただし、肝臓で代謝を受けない抗がん剤でも発症する可能性はあり、基本的には全ての抗がん剤で肝機能障害は起こりえます2)。
さらに、抗がん剤投与そのものに酸化ストレスを発生させる要素があることも3)、肝細胞に傷害が加わる理由の一つでしょう。
肝臓の大部分が傷害を受けるまで自覚症状では気づきにくいことから、肝臓は俗に「沈黙の臓器」とも呼ばれます。そのため、血液検査などで調べて初めて肝機能障害が発見されることも多いです。
肝臓の85%以上が機能障害に陥ると、以下のような自覚できる症状が出現します。
これらの自覚症状が抗がん剤の投与中に起こったら、緊急の処置が必要となる場合がありますので、担当医にただちに相談する必要があります。
抗がん剤が原因で肝機能障害が起こっていると疑われる場合は、その抗がん剤の減量や中止、変更が検討されます。
抗がん剤投与前に肝障害が認められている場合は、障害の程度に応じて投与量を修正しながら継続されることもあります。
なお、抗がん剤による肝機能障害を予防する有効な手段は現時点で確立されていません。

発生してしまうと抗がん剤治療の継続を困難にする肝機能障害に対して、原因薬剤の減量・中止・変更以外に有効な手立ては今のところありません。
ここでは抗がん剤による肝機能障害への水素吸入療法に関する医学研究について解説いたします。
今のところ、抗がん剤による肝機能障害に対して実際に水素吸入療法を実施した研究報告はありません。
しかし、これまでのいくつかの研究において肝機能障害と酸化ストレスが深く関わっていることが示されています。
例えば、数多くの肝臓の病気において、酸化ストレスが病態の中心的役割を示していることが複数の研究で示されています5, 6)。
また、2022年スイスの研究チームは、ある種の抗がん剤(メトトレキサート)が肝機能障害を引き起こすメカニズムに酸化ストレスが関与していることを示しています7)。
水素が抗酸化作用を持つことと、肝機能障害と酸化ストレスの関係から考えると、水素吸入によって抗がん剤による肝機能障害を予防できる可能性はゼロではないと考えられます。
実際、動物実験ではありますが、水素吸入による肝機能の保護や水素水摂取による肝機能障害における酸化ストレスや炎症が減少したという報告があります。4, 5)
予防と同様ですが、現時点では、抗がん剤による肝機能障害と水素吸入療法を直接的に検証した研究はありません。
ただ、関連する研究報告はいくつかあります。
いくつかの研究では、肝疾患患者に対する抗酸化物質の摂取が有効であると示されています。ただ一方で、有効ではないとするエビデンスもあり8)、実際に抗酸化物質が肝疾患に対して有効なのかはさらなる研究が必要です。
水素も抗酸化作用を持つため有効な可能性は否定できませんが、関連する研究報告が少なすぎることから可能性に期待するのはまだ時期尚早かと思います。
抗がん剤治療による肝機能障害は、比較的高頻度で認められ、かつなかなか自覚症状がわかりにくいために対処しにくいところがあります。
また、発症したとしても治療薬がなく、予防と治療のどちらの観点でもさらなる解明が求められています。
これまでの関連する研究を見る限り、水素吸入療法は、抗がん剤による肝機能障害を予防・軽減させる可能性は秘めていると言えます。
しかし、現時点ではまだ十分な実証が得られていない状況です。
今後さらに研究が進められ、患者さんの副作用が少しでも軽減されるよう、今後の水素吸入療法の研究の発展に期待したいと思います。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
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