アデノウイルス感染症は、特に小児を中心に集団発生しやすく、時に重症化することもある身近な感染症です。
現在、ワクチンや抗ウイルス薬がないため、予防や治療方法の確立が急務とされています。
本記事では、アデノウイルス感染症の原因や症状、治療法に加え、水素吸入が予防や治療に役立つ可能性を示す最新の研究結果を詳しく解説します。

アデノウイルス感染症は、特に小児を中心に集団発生しやすく、時に重症化することもある身近な感染症です。
現在、ワクチンや抗ウイルス薬がないため、予防や治療方法の確立が急務とされています。
本記事では、アデノウイルス感染症の原因や症状、治療法に加え、水素吸入が予防や治療に役立つ可能性を示す最新の研究結果を詳しく解説します。

アデノウイルス感染症は、アデノウイルスによって引き起こされる病気です。アデノウイルスには50種類以上のタイプがあり、タイプによって現れる症状が異なります。
アデノウイルスは感染力が強く、小児や免疫機能が低下している人が感染すると重症化するケースもあるため注意が必要です。
まずは、アデノウイルス感染症の原因、症状、治療方法について詳しく見てみましょう。
アデノウイルス感染症は、アデノウイルスが原因となる感染症です。アデノウイルスは主に飛沫感染と接触感染によって広がります。
飛沫感染とはウイルスが含まれる感染者の飛沫を吸い込むことで感染することを指し、接触感染はウイルスが付着した手で口、鼻、目などを触ることで感染することを指します。
アデノウイルスには50種類以上のタイプがあり、一度発症しても免疫ができにくく繰り返し発症する可能性があります。
特に小児は学校や保育施設などで集団感染しやすいのが特徴です。夏にプールの水を介して流行するアデノウイルス感染症は「プール熱」とも呼ばれ、代表的な夏風邪の一つとされています。
アデノウイルス感染症の症状は感染したウイルスのタイプによって大きく異なります。
具体的には次のような症状が引き起こされます。
多くは数日で自然に改善していきますが、小児や免疫機能が低下している人が感染すると重症化して肺炎や脱水症などに進行するケースもあるため注意が必要です。
現在のところアデノウイルスに対する抗ウイルス薬は開発されておらず、治療は解熱剤や整腸剤などを用いた対処療法が主体となります。
重症化した場合には水分補給のための点滴や酸素吸入などが必要となるため、入院を余儀なくされるケースも少なくありません。

アデノウイルス感染症は発生頻度が高い感染症であり、特に小児を中心に集団発生しやすいのが特徴です。自然に改善するケースが多いですが、なかには重症化して入院が必要となる場合もあります。
アデノウイルスに対するワクチンや抗ウイルス薬は開発されていないため、現在も新たな予防や治療方法を見出すための研究が重ねられています。
水素吸入とアデノウイルス感染症の直接的な関係を調べた研究結果はこれまで報告されていませんが、アデノウイルス感染症と活性酸素や抗酸化物質の関係を示した論文は報告されています。
具体的な内容を見てみましょう。
2011年、アメリカの研究チームはアデノウイルス5型(アデノウイルスの一種)に感染した細胞では、以下のような変化が生じる可能性を示唆する研究結果を明らかにしました1)。
この研究はヒトの細胞にアデノウイルス5型を感染させて変化を検証したものです。その結果、アデノウイルス5型が細胞に感染するとミトコンドリアの構造が変化して活性酸素を多く放出するようになることが明らかになりました。
今回の研究から、アデノウイルス5型は細胞に入り込むとミトコンドリアからの活性酸素の放出が促される可能性が示唆されました。
活性酸素はアデノウイルス5型自体にもダメージを与えます。研究者たちはアデノウイルス5型がダメージを受けてもミトコンドリアから多くの活性酸素が放出されるようになることで炎症性物質も増加し、発症につながると提唱しています。
これらの考察から、活性酸素がアデノウイルス感染症の発症に大きく関わっている可能性があると考えられます。そのため、活性酸素を効率よく除去できる水素吸入はアデノウイルス感染症の発症予防に役立つ可能性が期待できるでしょう。
今後はさらに多くのタイプのアデノウイルスへの効果が検証されていくことを期待します。
2020年、カナダの研究チームは強力な抗酸化作用を持つクルクミンという物質がアデノウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮する可能性を示す研究結果を報告しました2)。
この研究では、アデノウイルスを感染させたヒトの細胞にクルクミンを加えて変化を検証しました。その結果、クルクミンを加えた細胞はアデノウイルスが減少したことが明らかになりました。さらに、クルクミンの量を増やすほどアデノウイルスがより減少したことも明かしています。
一方で、クルクミンの抗ウイルス効果を発揮するには継続的なウイルスへの曝露が必要であることも分かりました。
今回の研究から、抗酸化作用を持つクルクミンがアデノウイルスの増殖を抑えて抗ウイルス効果を発揮する可能性が示唆されました。
明確なメカニズムの解明にはさらなる研究を続ける必要があるものの、研究者たちはクルクミンが持つ強力な抗酸化作用によってウイルスの増殖に不利な環境を作り出す可能性を言及しています。
抗酸化作用が抗ウイルス効果を示すと断言できる段階ではありません。しかし、今回の研究がさらに進展して抗酸化作用の効果が立証されれば、継続的な吸入による抗酸化作用の維持が可能な水素吸入が新たな治療法として応用される日が来るかもしれません。
今後のさらなる究明に期待します。
アデノウイルス感染症はよく見られる感染症ですが、重い症状が現れるケースもあり流行期には注意すべき感染症の一つと言えます。
一方で、アデノウイルスにはワクチンや抗ウイルス薬がないため、予防には手洗いや消毒など一般的な感染対策の徹底、治療には対症療法を行います。
私もこれまでにアデノウイルス感染症に罹った患者さんを多く診てきました。この病気は高熱、強い咽頭痛、目が真っ赤に充血するなど強い症状が現れやすく、辛い思いをされている方も多いです。そのため、ぜひとも予防や治療方法が見出されてほしい感染症の一つと考えています。
今回紹介した2つの研究結果から、水素吸入がアデノウイルス感染症の発症予防や治療に役立つ可能性が示されたと考えます。
繰り返しますと、活性酸素とアデノウイルス感染症の発症との関連が示され、抗酸化作用の高いクルクミンによってウイルスが減少することなどが示されていました。
予防や治療方法が確立していないアデノウイルス感染症の新たな光が示されたようで、非常にうれしくなる報告でした。
アデノウイルス感染症に対する水素吸入の効果を確立するには、ヒトを対象とした大規模な臨床研究が必要であり、まだ道のりは長いと言えます。
ですが、2つの研究結果を元に予防や治療方法が確立していないアデノウイルス感染症への水素吸入への効果検証が進み、広く活用されるようになることを望みます。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
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