がん治療における放射線治療は、その効果の一方で、認知機能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
放射線認知機能障害は、脳に対する放射線照射が原因となり、物忘れや集中力の低下など、日常生活に支障をきたす症状を引き起こします。この放射線認知機能障害に対して、抗酸化作用を持つ水素が注目を集めています。
本記事では、放射線認知機能障害の概要を解説し、水素吸入がこの副作用に対してどういった効果を持つのか、最新の研究をもとに探っていきます。現在放射線治療中の方やこれから受けられる方はぜひご参考ください。

がん治療における放射線治療は、その効果の一方で、認知機能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
放射線認知機能障害は、脳に対する放射線照射が原因となり、物忘れや集中力の低下など、日常生活に支障をきたす症状を引き起こします。この放射線認知機能障害に対して、抗酸化作用を持つ水素が注目を集めています。
本記事では、放射線認知機能障害の概要を解説し、水素吸入がこの副作用に対してどういった効果を持つのか、最新の研究をもとに探っていきます。現在放射線治療中の方やこれから受けられる方はぜひご参考ください。

放射線認知機能障害とは、がんの治療法のひとつである放射線治療の副作用により引き起こされる認知機能障害のことです。
脳腫瘍やがんの脳転移に対して脳に放射線治療を行った影響で、認知機能障害を引き起こすことがあります1)。
認知機能とは、理解や判断、論理などの知的機能を指します。
放射線治療はがんを標的として、治療に必要な最低限の周りの正常組織を含めて放射線を照射する治療です2)。
脳のがんを標的として放射線治療を行うと、正常な脳細胞を含めて放射線がダメージを与えるため、認知機能障害を発症すると考えられています。
そのため、放射線認知機能障害の原因となるのは、上述したように脳腫瘍やがんの脳転移など脳への放射線治療です。
全脳照射療法を受けた患者さんの10%から20%に認知障害が生じるとの研究もあります3)。
放射線認知機能障害は、治療後数か月〜数年以内に発症することが多いです。
認知機能障害の代表的な症状は、以下のとおりです4)。
症状の種類や程度は人によってさまざまです。
放射線治療を受けたあと、「以前と比べて様子が違う」「何かおかしいな?」と思うことがあれば早めに医師へ相談しましょう。
放射線認知機能障害と判断された場合は、専門の医師に診察をしてもらったり、放射線治療の中断などスケジュールを調整したりする必要があります。
完治が難しい場合は、生活での困りごとへの対処法を獲得することが治療の中心です。
例えば、症状や予定のメモをとり自分が混乱しないように工夫したり、軽い運動や周囲の人とのコミュニケーションで気分転換をしたりする方法があります。
生活するうえで「どのようなときに」「どのようなことが」困るのかを知り、必要なときは無理せずに周囲の人にサポートをお願いすることが大切です4)。

放射線認知機能障害は放射線治療が原因となって引き起こされる病気です。
元となっている病気を悪化させる恐れがあるため、放射線治療を中止することは困難な場合があるかもしれません。
現在、放射線認知機能障害と水素吸入の関係を調べた論文はありませんが、水素が放射線の影響から脳を保護する可能性が研究で示されています。
水素は放射線が生み出す活性酸素に対して抗酸化作用を持つといわれているのです。
研究報告を2つほど見ていきましょう。
2023年に報告された研究では、放射線照射を実施したラットを対象として、水素水の投与群と精製水の投与群に分け、空間認知試験を行いました5)。
空間認知試験は、まずラットをプールで5日間泳がせ、待機場所の位置を記憶させます。その後、元の位置から移動した待機場所を見つけるまでの時間や距離の測定結果から、学習能力や認知機能を判断します。
研究結果は以下のとおりです。
これらのことから、水素水が放射性認知機能障害の症状を改善できる可能性が示唆されたといえます。
この研究報告は水素吸入ではなく水素水を使用していますが、水素吸入は水素水よりも吸収率が高いことが知られています。そのため、水素吸入で同様の研究ができれば、より有意な結果が得られるかもしれません。
2019年に行われた研究では、放射線照射を実施したラットを水素水の投与群と精製水の投与群に分け、空間認知試験を行った後、ラットの脳や血液中の抗酸化物質や神経栄養因子などの測定を行っています6)。
脳内の抗酸化物質や神経栄養因子は空間認知試験と同時に測定することで、放射線認知機能障害との関連を調べることができます。
この研究の主な結果は以下のとおりです。
したがって、水素水が抗酸化反応や抗炎症反応などの調節に関与し、放射線による認知機能障害に対して保護効果を持つことが示されました。
この研究報告も水素水を使用しており、水素吸入によるものではありませんが、水素水よりも吸収効率の良い水素吸入で同様の研究を行うと、より水素の効果が期待できるかもしれません。
放射線認知機能障害に対する水素吸入の効果について解説しました。
動物実験において、水素が放射線認知機能障害でも抗酸化作用・抗炎症作用が認められたのは貴重な研究成果です。
さらに放射線認知機能障害の症状の改善も示されたのは、水素吸入が治療法の1つとなる可能性が高まったといえるでしょう。
しかしながら、現在ヒトでの臨床試験が実施されておらず、治療法としての普及については発展途上の段階ではあります。
さらに、放射線認知機能障害と水素の関係を調べているのは水素水だけであり、水素吸入のエビデンスは蓄積されていません。
ただ、水素水でも確実に有意差を示していることから、より吸収率の高い水素吸入でも放射線認知機能障害の症状改善など効果が現れる可能性は高いといえます。
今後、ヒトでの放射線認知機能障害に対して、水素吸入が有効である報告がますます増えていくことを期待しています。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
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