抗がん剤治療の副作用である「味覚障害」は、多くの方が直面する問題の一つです。食べ物の味が分からなくなり、日常生活の質が大きく低下してしまうことも少なくありません。しかし、確立された治療法がないことも課題です。
本記事では、抗がん剤治療による味覚障害の原因と、それに対する新たなアプローチである「水素吸入療法」が、どのように予防・改善に役立つ可能性があるのか、最新の研究結果を交えて詳しく解説します。今後の治療に役立つ貴重なヒントが見つかるかもしれませんので、ぜひ最後までお読みください。

抗がん剤治療の副作用である「味覚障害」は、多くの方が直面する問題の一つです。食べ物の味が分からなくなり、日常生活の質が大きく低下してしまうことも少なくありません。しかし、確立された治療法がないことも課題です。
本記事では、抗がん剤治療による味覚障害の原因と、それに対する新たなアプローチである「水素吸入療法」が、どのように予防・改善に役立つ可能性があるのか、最新の研究結果を交えて詳しく解説します。今後の治療に役立つ貴重なヒントが見つかるかもしれませんので、ぜひ最後までお読みください。

がん治療の3本柱を担う抗がん剤治療は、高い治療効果が期待できます。
その一方で、抗がん剤治療はさまざまな副作用が生じやすく、なかには治療後の生活の質を大きく低下させる症状を引き起こすケースも少なくありません。食べ物の味がわからなくなる「味覚障害」もその一つであり、抗がん剤治療をする方を悩ませる場合があります。
まずは、抗がん剤治療と味覚障害の関係について詳しく見てみましょう。
抗がん剤はがんの細胞にダメージを与える効果がありますが、同時に私たちの体の正常な細胞にまでダメージを引き起こすことがあります。
抗がん剤が舌の味を感じ取る「味蕾(みらい)」という細胞や味覚を脳に伝える神経にダメージを与えると、味が分かりにくくなる副作用が生じる場合があります。また、抗がん剤は口の中の粘膜にダメージを与えることも多く、その結果味を感じにくくなることも少なくありません。
特に、シスプラチン、パクリタキセル。ドキソルビシン、メトトレキサートなどの抗がん剤で味覚障害が起こりやすいとされています。
抗がん剤の味覚障害には確立した治療法はないのが現状です。
ですが、味覚障害は生活の質を大きく低下させる副作用であるため、次のような対策を行っていくのが一般的です。

抗がん剤治療による味覚障害は生活の質を低下させる副作用である一方、明確な予防や改善方法は現在のところありません。治療を終えても味が分かりにくくなるケースも少なくないです。
そのため、現在でも抗がん剤による味覚障害の副作用を予防、改善する方法を見出すための研究が多く行われています。水素ガスもその一つであり、味覚障害の副作用との関係を示す研究結果が報告されています。
具体的にどのような内容か詳しく見てみましょう。
2023年、イタリアの研究チームは抗がん剤が味蕾の細胞を攻撃することで酸化ストレスを引き起こし、結果として味覚障害が生じる可能性があることを示す研究結果を報告しました。1)。
この研究は過去の14の研究結果を分析した結果を示した報告であり、抗がん剤による味覚障害が口の中で引き起こされた酸化ストレスが関与していると結論付けています。
この研究結果から、抗がん剤による味覚障害は攻撃を受けた味蕾の細胞で酸化ストレスが増大することによる可能性が示唆されました。 水素吸入は酸化ストレスの原因となる活性酸素を効率よく除去することができるため、抗がん剤による酸化ストレスを軽減できる可能性があります。
抗がん剤の副作用による味覚障害を予防できる可能性も高いでしょう。ヒトを対象として大規模な臨床研究は行われていないため、確実な効果があると言える段階ではありませんが、今後の研究の進展に期待します。
2015年、日本の研究チームは水素水が口の中の粘膜のダメージを改善する可能性を示唆する研究結果を報告しています2)。
この研究は口の中の粘膜の一部を切除して傷を作ったラットを用いた動物実験です。水素水を飲ませる群と通常の水を飲ませる群に分けて、口の中の状態の変化を比較検討しました。その結果、水素水を飲ませた群では有意に炎症を引き起こす物質が減少し、口の中の粘膜のダメージが早く回復したことが示されています。
抗がん剤や放射線治療による味覚障害は、口の中の粘膜がダメージを受けることも原因の一つと考えられています。
今回の研究では、水素水が口の中の粘膜のダメージ回復を促す効果を持つ可能性が示唆されました。ゆえに、水素水には抗がん剤や放射線治療による味覚障害を改善させる働きがある可能性も考えられるでしょう。
水素吸入は水素水飲用よりも効率よく水素ガスを体内に取り込むことができるため、同様の効果が期待できる可能性は高いと考えられます。
まだ動物実験の段階であり、確実な効果があると断言はできません。今後はさらにヒトへの適応も視野に入れた研究が進められ、味覚障害の治療へ応用される日を期待しましょう。
今回ご紹介した2つの研究結果から、水素吸入は抗がん剤による味覚障害の予防や改善に役立つ可能性が示唆されたと言えます。
しかし、イタリアの研究チームによる報告は過去の研究結果をまとめたシステマティックレビューです。システマティックレビューは特定のトピックに関連する既存の研究を体系的に収集して分析するタイプの研究結果となります。
そのため、偏った結論が出にくいというメリットがある一方で、精度は各研究結果の質や公表バイアスなどに左右されるというデメリットもあるのが現状です。
また、中国の研究チームによる研究結果は動物実験の段階であるため、ヒトへの効果を検証するにはヒトを対照とした研究を行う必要があるでしょう。さらに効果を検証していくには大規模な臨床研究も必須です。
抗がん剤による味覚障害の治療に水素吸入が導入されるための道のりはまだ長い段階ではあります。しかし、水素療法はこれまで有効な予防や治療法がなかった味覚障害への治療に大きな希望を与える可能性があります。
今後のさらなる研究の進展に期待したいと思います。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
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