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結論
水素/酸素混合ガス吸入は、COVID-19の通常型患者の入院期間を短縮し、退院率を上げる可能性がある。
研究の背景と目的
COVID-19の流行により、多くの患者が入院を必要とし、医療リソースが逼迫している。そのため、入院期間を短縮することが重要な課題となっている。一方、水素は抗酸化、抗炎症、抗アポトーシス作用を持ち、呼吸器疾患に有効である可能性が示唆されている。そこで本研究は、COVID-19の通常型患者に対する水素/酸素吸入の効果を、酸素吸入と比較検討することを目的とした。
研究方法
中国の3施設で、COVID-19の通常型患者180名を対象とした。傾向スコアマッチング(PSM)により、水素/酸素吸入群33名と酸素吸入群55名に1:2の割合で割り付けた。水素/酸素吸入群は、水素/酸素混合ガス(水素:酸素=2:1)を1日6時間以上、7日間以上、流量3.0L/分で吸入。酸素吸入群は、低流量(3.0L/分未満)の酸素を吸入した。主要評価項目は入院期間、副次評価項目は14日目、21日目、28日目の退院率とした。
研究結果
- PSMにより、両群の背景因子は同等になった。
- 水素/酸素吸入群の入院期間中央値は12日(95%CI: 9-15日)、酸素吸入群は13日(95%CI: 11-20日)で、ハザード比1.91(95%CI: 1.25-2.92、p<0.05)と有意差が見られた。
- 21日目と28日目の退院率は、水素/酸素吸入群で有意に高かった(21日目: 93.9% vs. 74.5%、p<0.05、28日目: 97.0% vs. 85.5%、p<0.05)。
- 治療開始5日目の酸素飽和度は、水素/酸素吸入群で有意に高かった(98.5%±0.56% vs. 97.8%±1.0%、p<0.001)。
- 水素/酸素吸入群のサブグループ解析では、55歳未満(p=0.028)および併存疾患のない患者(p=0.002)で入院期間が有意に短かった。
- 両群とも、重篤な有害事象は見られなかった。
- 本研究にはPSMによる交絡因子の調整や多施設からのデータ収集など長所もあるが、後ろ向き研究であることやサンプルサイズが小さいことが限界として挙げられる。
Appendix(用語解説)
- 傾向スコアマッチング(PSM):交絡因子を調整し、バイアスを最小限に抑えるための統計手法。
- ハザード比:ある事象が起こるまでの時間を比較する指標。値が大きいほど、事象発生までの時間が短い。
- 95%信頼区間(95%CI):母集団のパラメータが95%の確率で含まれる推定値の範囲。
- 酸素飽和度:動脈血中の酸素化ヘモグロビンの割合。
- 交絡因子:曝露と結果の両方に関連し、見かけ上の関連を生じさせる第三の因子。
論文情報
タイトル
Effect of hydrogen/oxygen therapy for ordinary COVID-19 patients: a propensity score matched case-control study(COVID-19の通常型患者に対する水素/酸素療法の効果:傾向スコアマッチングを用いたケースコントロール研究)
引用元
Zeng, Y., Guan, W., Wang, K., Jie, Z., Zou, X., Tan, X., Li, X., Chen, X., Ren, X., Jiang, J., Zheng, Z., Shi, J., & Zhong, N. (2023). Effect of hydrogen/oxygen therapy for ordinary COVID-19 patients: a propensity-score matched case-control study. BMC infectious diseases, 23(1), 440. https://doi.org/10.1186/s12879-023-08424-4
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