3分で読める詳細解説
結論
水素水は脂質代謝を改善し糖尿病予防に有望である。
研究の背景と目的
2型糖尿病や耐糖能異常は生活習慣病の一種で、酸化ストレスが病状悪化の一因と考えられている。抗酸化作用を持つ水素分子を含んだ水(水素水)が、脂質代謝や糖代謝の改善に役立つ可能性があるかを明らかにすることが、この研究の目的である。
研究方法
- 対象者
- 軽度の2型糖尿病患者30名、耐糖能異常患者6名、合計36名(男女各18名、平均年齢58.6歳、BMI平均23.4)。
- 糖尿病診断から3年未満、HbA1c 6.9%未満、重篤な疾患や過度な喫煙・飲酒がない患者を選定。
- 介入方法
- 1日900mLの水素水(濃度1.2±0.1mg/L、pH6.7、ORP−600mV)を8週間摂取。
- 摂取は300mLを3回に分けて行った(流量の記載なし)。
- プラセボ水(偽薬)との交差試験を実施(各8週間、間に12週間の休薬期間)。
- 対照群
- あり(プラセボ水を摂取)。
- 評価方法
- 血中の脂質、糖代謝指標、酸化ストレスマーカー、インスリン抵抗性指標などを測定。耐糖能異常(IGT)の患者6名については、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で評価。
研究結果
- 水素水摂取後に有意な改善が認められた項目:
- 修飾LDLコレステロール (emLDL)が15.5%低下(p<0.01)
- 小型高密度LDL (sdLDL)が5.7%低下(p<0.05)
- 尿中8-イソプロスタン(酸化ストレスマーカー)が6.6%低下(p<0.05)
- 改善傾向が見られたが統計的有意性に達しなかった項目:
- 酸化LDLコレステロール (oxLDL) の減少(p=0.0567)
- 血中アディポネクチンの増加(p=0.0577)
- EC-SODの増加(p=0.0871)
- 耐糖能異常(IGT)患者6名のうち4名で、75g OGTTにより耐糖能が正常化した。
- 2時間後血糖値が摂取前の9.36 mmol/Lから7.33 mmol/Lへと有意に改善(p=0.0010)。
- インスリン分泌の増加が観察された(摂取前270.1 pmol/Lから423.8 pmol/L、p=0.0329)。
- HbA1c、体重、血圧には有意な変化なし。
- 考察
- 水素水が脂質(特に修飾LDL)や酸化ストレスを改善することが示された。
- 耐糖能の改善は、インスリン分泌機能の向上による可能性が考えられる。
- これらの結果は、水素の抗酸化作用によって細胞の酸化障害を抑えたことが背景にある可能性が高い。
- より大規模な研究で確認する必要があると指摘されている。
- 研究の限界
- サンプル数が少なく、結果の一般化には注意が必要であること。
Appendix(用語解説)
- 酸化ストレス: 活性酸素が過剰に発生し、細胞にダメージを与える状態。
- LDLコレステロール: 低密度リポタンパク質コレステロール。いわゆる「悪玉コレステロール」で、動脈硬化の原因になる。
- 修飾LDL(emLDL): 酸化や糖化などにより化学的に変化したLDL。動脈硬化を促進するとされる。
- 8-イソプロスタン(u-IsoP): 酸化ストレスの指標となる物質で、体内の酸化の程度を示す。
- 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT): 糖尿病の診断に使われる試験で、ブドウ糖を飲んだ後の血糖値の変化を調べる検査。
- インスリン抵抗性: インスリンが効きにくくなり、血糖値が高くなりやすい状態。
論文情報
タイトル
Supplementation of hydrogen-rich water improves lipid and glucose metabolism in patients with type 2 diabetes or impaired glucose tolerance(水素水の摂取は2型糖尿病および耐糖能異常患者の脂質および糖代謝を改善する)
引用元
Kajiyama, S., Hasegawa, G., Asano, M., Hosoda, H., Fukui, M., Nakamura, N., Kitawaki, J., Imai, S., Nakano, K., Ohta, M., Adachi, T., Obayashi, H., & Yoshikawa, T. (2008). Supplementation of hydrogen-rich water improves lipid and glucose metabolism in patients with type 2 diabetes or impaired glucose tolerance. Nutrition research (New York, N.Y.), 28(3), 137–143. https://doi.org/10.1016/j.nutres.2008.01.008
専門家のコメント
まだコメントはありません。