肺線維症は原因不明の難病であり、予後が非常に悪い危険な疾患です。
しかし、最新の研究により、水素吸入が肺線維症の予防や改善に効果がある可能性が示唆されています。
本記事では、肺線維症の概要から水素吸入がどのように予防や改善に役立つ可能性があるのかについて、これまでの研究報告をもとに解説していきます。
肺線維症は原因不明の難病であり、予後が非常に悪い危険な疾患です。
しかし、最新の研究により、水素吸入が肺線維症の予防や改善に効果がある可能性が示唆されています。
本記事では、肺線維症の概要から水素吸入がどのように予防や改善に役立つ可能性があるのかについて、これまでの研究報告をもとに解説していきます。

肺線維症は肺の間質という部分に炎症が起き、肺が硬くなって呼吸がしづらくなる疾患です1,2)。
肺線維症の多くは原因不明の特発性肺線維症であり、難病に指定されています。
診断が確定してからの予後は平均して3〜5年、急激に悪化した場合の予後は平均して2ヶ月以内といわれており、非常に危険な疾患です。
薬剤や放射線、膠原病などが原因のこともありますが、肺線維症の多くを占める特発性肺線維症は原因が明らかになっていません1,2)。
考えられている原因には、遺伝的な背景があげられます。
また、喫煙などによる慢性炎症や肺の細胞である肺胞上皮が繰り返し傷つくことも原因として想定されています。
特発性の肺線維症は発症がゆっくりで、見つかるときは無症状のことが多いです1,2)。
症状が出たときは乾いた咳や動作に伴う呼吸困難などが生じます。
肺以外の症状には体重減少や倦怠感などがあります。
また、急速に呼吸不全が進行する急性増悪をきたすこともあるため、注意が必要です。
原因がある場合は原因をとりのぞくことが最優先です1,3)。
原因不明の特発性肺線維症は難治性で徐々に進行する病気であり、根治療法は現在確立されていません。そのため、今までは対症療法を中心に治療が行われていました。
近年、肺線維症の治療薬として抗線維化薬のピルフェニドンやニンテダニブが認可され、注目を集めています。
自覚症状がなく安定している場合は無治療のことが多いですが、症状があり悪化する場合は専門医の治療が必要です。急性増悪をきたした場合は緊急入院での対応が必要になります。
肺線維症は上で述べたように、慢性炎症が背景にある可能性が高いです。
水素吸入は抗炎症作用が認められており、さまざまな疾患で効果が検証されています。
今回、水素吸入が肺線維症の慢性炎症を予防する可能性が示唆されました。
この研究では、肺線維症を誘発するブレオマイシンという薬剤をラットに注入し、その後水素吸入する群としない群に分けて、肺組織を調べました4)。
具体的には、ブレオマイシンを注入した直後から2%の水素ガスを1日あたり2時間、4時間、8時間の頻度で吸入させ、28日後に肺組織を採取しています。
すると、水素吸入した群は、しなかった群に比べて肺の炎症や線維化などが有意に抑えられたことが示されました。
このことから、水素吸入が肺線維症の発症を有意に抑える可能性が示唆されたといえます。
先ほどは肺線維症の発症が抑えられるという報告でした。
実は、肺線維症が発症したあとに改善される可能性を示唆した報告があります。
2023年に発表されたこの研究では先ほどと同様、ブレオマイシンを用いた肺線維症のモデルマウスが用いられています5)。
具体的には、肺線維症を発症したマウスに3.2%の水素ガスを吸入させる群と空気を吸入させる群に分けて、毎日6時間の吸入を21日間続けました。
すると、21日間水素吸入した群は肺の広がりやすさと肺活量が有意に改善したことが示されました。
肺線維症は線維化を起こすことで肺が硬くなり、肺活量が低下する疾患です。このことから、水素吸入が肺線維症の改善に効果がある可能性が示唆されたといえます。
今までは動物実験の研究報告でしたが、2023年に人を対象として肺の線維化が改善された報告もあります6)。
研究方式は単一施設前向きランダム化並行群間比較試験でした。
この研究では早期間質性肺疾患の患者87名を対象に、水素療法(1.6ppmの水素水350mLを1日2回経口投与)44人とNAC療法(600mg 1日3回経口投与)43人をランダムに割り付けて、CT画像を検証する形で実験が行われました。
その結果、水素療法を行った患者群はNAC療法の患者群に比べて、CT画像で肺の病変が有意に改善していることが示されました。
間質性肺疾患は、肺線維症を含む肺の炎症や線維化が起きる疾患の総称です。
NAC療法は早期間質性肺疾患に用いられる治療法ですが、効果が不十分なのが現状の課題でした。
今回の研究結果から、肺線維症の改善に水素がNAC療法よりも有効である可能性が示唆されたといえます。
この研究では水素水を用いていましたが、水素吸入の方が体内に取り込まれやすいため、肺線維症に対して同様またはそれ以上の効果が期待できるかもしれません。
これまで、水素吸入と肺線維症の関係について述べてきました。
結論としては、人を対象とした研究がまだ少なく、有効性が確立されているとはいえない段階でしょう。
実際に水素吸入を臨床現場で利用するためには、人での研究が必要不可欠です。
なぜなら、安全性はもちろんのこと、水素吸入の量や頻度などが治療法として確立していない段階では、確実な効果が期待できないからです。
しかしながら、水素吸入での動物実験や人を対象とした水素水の研究では、肺線維症の予防や改善の可能性が大きく示唆されていると感じました。
今後さらに研究が進められ、水素吸入の肺線維症に対する有効性が確立されるのを期待したいと思います。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
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