「小胞体ストレス」と聞いても、いまいちピンとこない方も多いでしょう。
しかし、「小胞体」は私達の身体を作るタンパク質の生成と密接に関わっており、この器官にストレスが掛かることで、様々な体の不調が引き起こされることがわかってきています。
水素はこの小胞体ストレスを軽減することで、私達の身体にメリットをもたらしてくれる可能性が期待されています。
本記事では、小胞体ストレスとは何なのか、水素はどういう影響をもたらすのかについて研究報告をもとに解説していきます。

「小胞体ストレス」と聞いても、いまいちピンとこない方も多いでしょう。
しかし、「小胞体」は私達の身体を作るタンパク質の生成と密接に関わっており、この器官にストレスが掛かることで、様々な体の不調が引き起こされることがわかってきています。
水素はこの小胞体ストレスを軽減することで、私達の身体にメリットをもたらしてくれる可能性が期待されています。
本記事では、小胞体ストレスとは何なのか、水素はどういう影響をもたらすのかについて研究報告をもとに解説していきます。
小胞体はミトコンドリア同様、細胞内小器官のひとつです。その機能は、タンパク質を「折りたたむ」ことです。
タンパク質は、本来はひものような構造物であり、これが折りたたまれて立体構造を形づくることで特定の機能を持つようになります。
しかし、ウイルス感染、飢餓状態、低酸素等によって細胞にストレスがかかると、小胞体内での折りたたみなどが上手くいかなくなります。
こうして上手く折りたためなかった異常タンパク質が小胞体内に蓄積します。これを小胞体ストレスと呼びます。
小胞体ストレスが生じると、細胞はこの折りたたみが上手くいかなかったタンパクを取り除く反応を起こします。しかし、これでも対応できない場合、細胞は、細胞ごと不良タンパクを処理するために細胞死してしまいます。
つまり、小胞体ストレスは、最終的にはアポトーシスを誘導する可能性があるということです。1) 2)
アポトーシスによって細胞死が生じると、組織の正常な機能が損なわれて、様々な疾患の発症につながると考えられています。
小胞体ストレスによって、様々な疾患が誘発されることがわかっています。
小胞体ストレスは主に下記のような疾患に関連するとされています。
膵臓にあるβ細胞は、血糖値の上昇に反応して、血糖値を下げるインスリンというホルモンを分泌します。しかし、遺伝子異常などにより小胞体ストレスが生じると、膵臓β細胞のアポトーシスが引き起こされて、減少してしまいます。こうして血糖値を下げることができなくなり、高血糖が持続することで糖尿病を発症してしまうのです。
また、2型糖尿病患者においても、非糖尿病患者と比べて、膵臓のβ細胞内の小胞体ストレスマーカーが亢進しているとの報告もあります。3)
神経変性疾患は、中枢神経系の細胞が傷害され、減少することで正常な機能を果たせなくなる疾患です。代表的な疾患として、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などがあります。
これらの疾患では、いずれも神経細胞内に変性タンパク質の蓄積がみられます。
神経細胞内に変性タンパク質が蓄積した結果、小胞体ストレスが生じ、神経細胞は細胞死を迎えます。神経細胞の減少によって様々な症状をきたします。4) 5)
肥満や脂質異常症(いわゆる高脂血症)の発症にも小胞体ストレスの関与が指摘されています。マウスに高脂肪食を与えると、肝臓や脂肪組織で小胞体ストレスが生じることが明らかになっています。
体重をコントロールする重要なタンパク質としてレプチンというタンパク質があります。レプチンは、エネルギー代謝を亢進し、摂食抑制作用があるため、痩せる方向に作用するタンパク質といえます。しかし、小胞体ストレスがあると、このレプチンに反応することができなくなってしまいます。6)
がん細胞は自身の周りに新たに血管をつくる特徴がありますが、これも小胞体ストレスがあることで誘導されます。7)
また、小胞体ストレスによって活性化するシグナルには、がん細胞の生存や、増殖を促すものもあり、小胞体ストレスが密接に関わっていると考えられています。8)
水素には、小胞体ストレス軽減作用があることが知られています。
水素分子は、小胞体ストレス応答によって生じる各種タンパク質(CHOP, XBP-1, ATF6, P-PERK, GRP78/BiP)を抑制することが知られており、小胞体ストレスの軽減に役立つ可能性があると考えられています。1)
水素の潰瘍性大腸炎への治療効果に関する論文のレビューでは、水素分子が炎症性サイトカインの産生を抑制していることが明らかとなった他、小胞体ストレスを軽減し、腸管上皮細胞のアポトーシスを抑制することで腸管バリアの保護に寄与していると考えられました。9)
敗血症患者では、小胞体ストレスが惹起されます。水素はオートファジー(※)経路を活性化して小胞体ストレスを軽減します。さらにこれによって炎症と臓器障害を軽減します。10)
※オートファジー(自食作用):異常タンパク質は有害となりうるため、貪食細胞などを用いて積極的に取り除こうとする作用
水素によって小胞体ストレスが軽減されると上記のような疾患の発症予防や、進行抑制に役立つ可能性があると考えられます。
小胞体ストレスは生活習慣病をはじめとして私達の身近な疾患に関係が深いことが近年明らかになってきました。水素がどのように作用して小胞体ストレスを抑制しているのか未だ明らかになっていないこともあります。
しかし、多くの研究結果が、小胞体ストレスを軽減し、臨床症状の改善等に寄与することを示唆しています。
今後、さらなる研究によってそのメカニズムが解明されるとともに、予防や治療に水素が臨床応用される日がくることが期待されます。
水素吸入に関する研究論文・疾患別考察・基礎知識をまとめる編集チーム。特定メーカーに属さない中立的な立場で、医師監修・ファクトチェック体制のもと、エビデンスに基づく情報を発信しています。
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